
“薄明の砦”カルダイオン
ヒスドゥール浮遊連峰の北西部に位置する“薄明の砦”を中心とし、エレイア盆地に築かれた共同体です。“星見の魔動巨兵”カルダイオンを改造・増築して作られた地上七階、地下五階にまで至る巨大な砦そのものを指すこともあります。
エレイア盆地全域の人口は2万人弱と言われていますが、砦や町、一部の村々など以外は正確に戸籍管理がされている訳でもない場所が多く、総数は3万人程度ではないかとされています。総人口で言えば決して小さな共同体ではありませんが、拠点が盆地の中とはいえ点在しており、多種多様な種族が存在することから単純に人口を戦力や生産力に結び付けるのは早計でしょう。
急峻な山々に囲まれた天然の要塞、エレイア盆地に名前が付けられたのは、僅か150年前のことです。蛮族からも人族からもはぐれた者たちを率いてこの地にやってきた“遠見の杖”ヴァルネファによって、この土地は開拓されました。彼は本来、魔動巨兵カルダイオンを解体することで当面の資源とすることを考えたようですが、じきにこの土地そのものが、危険ながらも豊かであることに気付き、防御のために再利用する方針に変えました。
魔動巨兵カルダイオンに隠された秘密とは一体どんなものなのか、そもそも何処からやってきたものだったのか、それを知る者がどれほどいるかは定かではありません。一説によれば『空から降ってきたためにエレイア盆地の南西部に巨大な谷が出来た』とされています。事実、この魔動巨兵が山にもたれ座り込むように倒れている谷は、ちょうどその巨体がはまり込む大きさになっています。謎めいた存在ですが、日夜この魔動巨兵の研究に勤しむ者たちによって、更にその能力が引き出されていっていることは確かです。そうでもなければ、僅か一世紀半でこれほどまでにこの辺境の土地が発展することなどなかったでしょう。

エレイア盆地
ヒスドゥール浮遊連峰の北西部の『何処か』に存在する小さな盆地です。
飛行騎獣の翼があれば、1日で一周が出来てしまう広さですが、周囲よりも温暖であり、豊富な水と鉱物資源、長年の土壌改良による作物の収穫増加により、見た目以上に豊かな土地です。固有の生物種の生息も確認されており、平地には開拓地が点在しています。
また、この場所が『エレイア盆地』と名付けられるよりも前、魔動機文明時代や魔法文明時代の遺跡と思しいものも見つかっています。その頃に何と呼ばれていたかは、開拓が最優先で遺跡調査などは後回しの現在、定かではありません。
南西部、この盆地から出ることの出来る、最も大きな谷を塞ぐように“薄明の砦”が存在しています。

“雲憩う”コイレ湖沼地帯
エレイア盆地を取り巻く山々から流れ出した雪解け水が集まる地帯です。ここに集まった水は周囲の畑に引かれるなどして利用されています。また、一部は地下水となって盆地南部へと流れ出し地底湖を形成していると考えられています。
